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2010/01/09 土

というワケで、同窓会に行ってきました。 season02 中編

怒涛の前回を踏まえ、続編です。
 
ハッと気が付くと既に同窓会は始まっていた。

それぞれの円卓が和気あいあいと盛り上がる中、静けさが目立つ5組のテーブル。圧倒的に人数が少ない。男性2名、女性4名のみ。その内の1人が僕だった、盛り上がりに欠けるのも頷ける。

そんな状況を見かねてか司会を担当していた人が声をかけてくれる。

「ジョージ、今日は来てくれてありがとう。」

「…いえいえ。……。(ビールを飲む)」

「…。今日は楽しんでね。」

「ありがとう。」

何て優しい人なのだろうか、こんな僕にまで。司会者が去った5組の円卓にはまた静寂が戻る。料理は誰も手をつけていない。
その時、僕のビールを注がれていたコップが倒れそうになった。
危ない!と思いとっさに支える事に成功し、事なきを得た。今のはかなりのファインプレーだったと我ながらに思う。

「危なかった、ハハハ。」

乾いた笑い声をあげてみた。

誰も聞いていないし、誰も見てもいなかった。


その様子を見かねたのかどうかは定かではないが、友人Cが僕の元へ立ち寄り声をかけてきた。

「どう?」

「おお、我が軍師。どうと言われても僕は、此処で、まだ、何も成していない。」

「はいはい。こっちのクラスの方に座れば?結構盛り上がってるよ、アノ娘もいるし。」

そう、今回の同窓会にはアノ娘がいるのだ。アノ娘とはもうアノ娘以外何者でもない。相変わらずの美貌であった。
しかも受付では声をかけてもらった。「あ、どうも、ハハ。」と返事も返せた。もうそれで十分なのである。

「いやいやいや、いいよいいよ。恥ずかしいし。」

「え?今更恥ずかしいとか言われるこっちが恥ずかしいし。」

「いや~、じゃあちょっと待って。まだ体ができてない。もう少し待って。」

「は?もういいって、分かった分かった。あとでな。」

手を挙げ自分の卓に戻っていく友人の背を見て少し和んだ。良かった。
しかしこの卓上を考えてみて欲しい。5組のテーブルはお通夜状態、女性陣にも何人か別のクラスの人達が声を掛けている。しかし皆席を離れないのは自分が席を立つ事によって拮抗している5組の卓上に波風を立たせたくないからなのだ。分かってくれ同志。と独りで妄想に浸っている姿は後々問いただすと相当寂しそうに映った様だ。


そんな状態がしばらく続いたがやはりそこは人の業。たまりかねた女性陣は一人、また一人と席を離れ別のクラスの輪に入っていく。
ここで頭をよぎった問題点が一つ。自分が最後に残ってしまったらどうしようという事である。
円卓に一人で座っている状況は明らかに辛い。そんな役は僕じゃないハズ。ここは誰か古き良きクラスメイトを蹴落としてでも席を離れなければいけない、そう思い周りを伺う。誰かに「こっちにきて座れよ。」と声をかけてもらいたかったからである。

「あ、じょーじ、久しぶり~。」

きた。別クラスの男性が声をかけてくれた。自然な流れ、自然な流れでおもむろに席を立ち、彼に付いて行く事だけを考え、次の言葉を待った。

彼は僕には目もくれずスタスタとトイレに行ってしまった。

5組の卓はトイレに1番近く、そのついでに声をかけただけなのであった。中途半端に身を乗り出していた僕はその状況をクラスメイトに悟られないようにビールを飲んだ。


5組の卓上には男性陣2名、女性陣1名が残っているというサドンデス状態が続いていた。おそらく僕を含めた全員が機を伺っていたのだろうと思う。
僕は激しく後悔していた。こんな事なら同窓会に来るんじゃなかった、と。

その時、卓に天使達が舞い降りる。

どちらかというと元気者キャラ系女性グループがドカドカと5組の卓に座りだしたのだ。主を失った卓の席達はたくさん空いていたのだ、そして取り残された3人を巻き込みトークを繰り広げてくれている。これは助かった。まったくもって負の柳田の周りをうろつかなくなってしまった友人達とは明らかに違う光。この状況を周りから見ると普通に同窓会を楽しんでいるかのように映っていたのだと思う。ごく自然に色々な人が声をかけてくれ、待ちに待ったあの言葉を発してくれた。

「良かったらこっち来て座りなよ。」

「うん、じゃあ行く。」

同窓会開始よりかなり時間が経ってしまったが、ここから僕の同窓会は始まるのだ。
僕はおもむろに席を立った。さらば5組の円卓。キミの席に着く事はしばらくないだろう、今までありがとう。そう心の中でお礼を言い背を向けた。


その時━━━。


僕が席を立ったタイミングで、ちょうどアノ娘が5組の卓に呼ばれ、席に着こうとしていた。

時を同じくして5組の卓上、最後の女性陣である人が「今、私マンガ家してるんだよ。」と気になりすぎて困る内容の話を天使達にしていた。


犬も歩けば棒に当たる。


柳田立てばチャンスを棒に振る。


後悔先に立たず、覆水盆に返らず、この橋渡るべからず。


僕は男性陣ひしめき合う卓に静かに席に着いた。背中に目があったらなと儚い願いを胸に抱きながら。


つづく

同窓会シリーズ

今…すごく悩んでいます…(2008年)
というワケで、同窓会に行ってきました。(2008年)
今…すごく悩んでいます…。 season02(2010年)
というワケで、同窓会に行ってきました。 season02 前編(2010年)
というワケで、同窓会に行ってきました。 season02 中編(2010年)
というワケで、同窓会に行ってきました。 season02 後編(2010年)
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